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いらない土地を国に返す相続土地国庫帰属制度の要件と費用

2026年10月9日更新

先に答え

相続土地国庫帰属制度とは

相続した土地のうち、使い道がなく管理もできない土地を、国に引き取ってもらう制度です。2023年4月27日に始まりました。持ち主が分からない土地が増えるのを防ぐために作られた制度で、法務大臣(実際の窓口は法務局)が審査します。

相続放棄とは別の制度です。相続放棄は預金なども含めて相続の全部を放棄しますが、この制度は相続したあとで、いらない土地だけを手放せます。

申請できる人

相続土地国庫帰属制度が使えない土地の要件

使えない土地は2段階で決まっています。当てはまると申請そのものができない「却下」の5つと、審査のうえで承認されない「不承認」の5つです。どちらも法律と政令に書かれています。

申請できない土地(却下の5項目)

項目中身
建物がある建物が残っていると申請できません。先に取り壊し、建物の滅失登記をしてから申請します。
担保や使う権利が付いている抵当権などの担保権や、賃借権・地上権などが設定されている土地。
他人が使う予定がある政令で決まっているのは、いま通路に使われている土地、墓地の中の土地、寺社の境内地、いま水道用地・用悪水路・ため池に使われている土地です。
土壌が汚染されている土壌汚染対策法の特定有害物質で、基準を超えて汚染されている土地。
境界がはっきりしない・争いがある隣の土地との境界が現地で分からない土地や、持ち主や範囲について争いがある土地。法務局は隣の持ち主に照会して確かめます。

法律2条3項、施行令2条。

承認されない土地(不承認の5項目)

項目中身
崖がある勾配30度以上かつ高さ5m以上の崖があり、管理に余分な費用や手間がかかる土地。
地上に物がある管理や処分の邪魔になる工作物・車両・樹木などが地上にある土地。統計で最も多い不承認の理由です。
地下に物がある取り除かないと管理や処分ができない物が地下に埋まっている土地。
隣ともめないと使えない周りを他の土地に囲まれて公道に出られず通行が妨げられている土地や、使うことを現に妨げられている土地。
管理に余分な手間がかかる崖崩れや陥没などの災害のおそれがあり手当てが要る土地、獣や害虫の被害が出ている土地、市町村の森林整備計画に合わず間伐などを足す必要がある森林、国が費用を負担することになる土地など。

法律5条1項、施行令4条。

自分の土地が当てはまるかは、法務局の相談で確かめられます。相談に持っていく確認表は印刷用チェック表にあります。

相続土地国庫帰属制度の費用

費用金額払う時
審査手数料1筆14,000円(収入印紙)申請の時。却下・不承認・取下げでも返りません
負担金原則20万円。市街化区域の宅地、一部の区域の農地、森林は面積で計算承認の通知から30日以内
自分で用意するもの建物の解体、境界の確認や測量、木や物の撤去、書類の取り寄せ申請の前
専門家に頼む場合申請書の作成を弁護士・司法書士・行政書士に頼む報酬依頼の時

負担金の計算式と面積ごとの金額は、負担金の計算にまとめました。

申請から国に帰属するまでの流れ

  1. 法務局に相談する。土地がある都道府県の法務局・地方法務局の本局で、予約制です(法務局手続案内予約サービス)。
  2. 申請書を出す。窓口は同じく本局の不動産登記部門で、支局・出張所では受け付けていません。郵送でも出せます。土地の位置と範囲の図面、境界と形の写真、印鑑証明書などを付けます。
  3. 書類の審査と実地調査。法務局の職員が現地を調べ、隣の持ち主に境界を照会することがあります。標準処理期間は8か月です。
  4. 承認の通知と負担金の額が届く。
  5. 30日以内に負担金を納める。納めた時点で土地は国のものになります。期限を過ぎると承認は効力を失います。

相続土地国庫帰属制度の実績

法務省が公表している統計(2026年8月31日時点の速報値)です。

申請と結果の件数
申請5,997件
国に帰属3,119件
却下85件
不承認100件
取下げ1,139件
審査中など1,554件
土地の種類ごとの件数
申請(地目)件数帰属(種目)件数
田・畑2,335農用地989
宅地2,091宅地1,164
山林902森林203
その他669その他763

取下げ1,139件のうち、586件は「有効活用の見込みが生じた」、405件は「却下・不承認であることが判明した」ための取下げでした。

却下では「添付書類が出されなかった」37件、「境界が明らかでない」23件、「通路に使われている」22件が多く、不承認では「工作物・車両・樹木が地上にある」46件、「国による追加の整備が必要な森林」37件が多くなっています(1件で理由が複数のことがあります)。

相続土地国庫帰属制度のデメリット

先に買取業者の無料査定で値段が付くかを確かめておくと、払わずに済む道があるかが分かります。国に返せない場合の手放し方は返せない土地の手放し方にまとめました。

自分で申請するか専門家に頼むか

申請は本人がします。申請書には申請する本人の記名と押印が要り、手続きの全部を代理で頼むことはできません。申請書や添付書類を作るのが難しいときは、弁護士・司法書士・行政書士に作成を頼めます。この3つの資格者以外は作成を代わりに行えません。

境界の確認や測量が要るときは土地家屋調査士の仕事になります。どこまで自分でできそうかは、法務局の相談のときに聞いておくと決めやすくなります。

よくある質問

相続土地国庫帰属制度で10年後に何か起きますか

負担金は国が管理する10年分の標準的な費用をもとに計算したお金ですが、10年たって土地が戻ってきたり、追加で払ったりすることはありません。国に帰属したあとに返してもらう手続きもありません。制度そのものは、法律の附則で施行から5年(2028年4月)を過ぎたら見直しを検討することになっています。

相続放棄とはどう違いますか

相続放棄は、預金なども含めた相続の全部を放棄するもので、家庭裁判所に申し立てます。国庫帰属は、相続したあとで、特定の土地だけを国に引き取ってもらう制度です。

売買で買った土地も国に返せますか

返せません。相続か、相続人への遺贈で取得した土地が対象です。ただし共有の土地で、相続で取得した共有者がいるときは、売買で取得した共有者も一緒に申請できます。

共有の土地で1人が反対したらどうなりますか

共有の土地は全員が共同で申請しないと受け付けられません。1人でも反対すれば申請できません。

相談は本人でないとできませんか

法務局の相談は、所有者の家族や親族でもできます。予約制で、対面・電話・ウェブから選べ、1回30分以内です。

申請してから国に帰属するまでどのくらいかかりますか

法務省が示す審査の標準処理期間は8か月です。承認の通知と一緒に負担金の額が届き、30日以内に納めた時点で国に帰属します。

このページで確かめた資料

数字と要件は2026年10月9日に法令と法務省の公表資料で確かめました。制度や統計は変わることがあるので、申請の前にリンク先の最新の情報と法務局の相談で確かめてください。